丸の内の森レディースクリニック
2023 / CLINIC
Client:丸の内の森レディースクリニック
Site:Chiyoda-ku Tokyo Japan
Floor space:124㎡
Design Office:ilma design Inc.
Project Designer:Takatoshi Gen
Construction Company:Indect Ltd.; Co.
Photo: Yujiro Hanada
丸の内にて移転に伴う産婦人科クリニックの新装工事プロジェクト。 場所は東京駅直結の丸の内オアゾ(丸の内北口ビルディング)6階の区画である。 移転計画での内装設計デザインのオファーをいただいた時にクリニック名の「森」をどう表現しようか模索した。 丸の内という土地はそもそも森に近いのではないかと思えた。森とは樹木が生い茂っている様やものがたくさん並んでいる様に使われる言葉である。 そこで街そのものを森と考え、大型オフィス街という大きな建物が立ち並ぶ森のような環境の中、患者がほっと心を休められる空間とは何なのかを考えた。 オフィスと商業空間が大半を占め、他の都市に比べても住環境が圧倒的に少ない丸の内。つまり患者の多くは個人の住環境から離れて訪れる場合が多い。 旅とまでは大袈裟に表現できないが、旅先のホテルに到着できた時のような安堵感を感じてもらえる空間を提供できればと考えた。 そもそもホテルとは旅先で病気や怪我をした人々を保護していた「ホスペス( ラテン語)」が語源と言われている。 それが英語圏では「ホスピタリティ」となり、おもてなしを意味するホテルへと派生した。人への思いやりや気遣いを体現した空間であるホテルはクリニックに通じる空間づくりがされていると思う。また建物名のオアゾ(OAZO) とはエスペラント語で「オアシス」つまり憩いの地を表している。 建物のコンセプトである[ オアゾ] 憩いの地と心理的な要素、言葉の語源から今回は森そのものではなく、[森の中にたたずむホテル]をコンセプトに空間設計を行った。 レセプションから各診察室までをオークの板張りで仕上げ、大きな塊とし、それを囲むようにコの字型にレセプションカウンター・待合が占める。一番奥には東京駅の駅舎が一望できる開けたロケーションだ。床材には土を表現したカーペットを敷き、空間に動きを与えた。柱型ディスプレイの背面にはフランスから輸入したCASELIOのクロスで仕上げている。建物名オアゾのオアシスをイメージしてセレクトしたこのクロスにはカラーバリエーションが6色あり、6部屋全てに色違いのクロスを使用し、各部屋の1面を彩っている。 また待合ベンチの背面には森の中をイメージし、LED照明入りのガラス窓を設置。通路にはダウンライトを設けず、ガラス窓と足元の間接照明のみで照度を保たせている。 レセプションカウンター上部には施主様念願のアクアリウム水槽であるADA LABOとアクアリウムデザインチーム ビオグラフィカの協同作品が展示され、訪れる人たちを楽しませてくれるだろう。